思ひ出のスピーカー

その昔、まだ若い耳で聴いて印象に残っているスピーカーを紹介します。

テクニクスSB-7000

別名テクニクス7。
ユニットの位相を考えた国産初のスピーカーではなかったでしょうか。「リニアフェイズ」という言葉と理論はこれから知りました。

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高校の同級生カモネギくんちに遊びに行ったら、兄さんの部屋にこれがデデーンと座っていました。
レコードだったかカセットだったか、かけてもらうと、いままで聴いたことのない重い低音があふれるように出てきておぼれそうになりました。
悪く言えばダブついた音だった気もしますが、少しも嫌な感じはしませんでした。
それまでに聴いてきたもっとも低い音を出すスピーカーといえば、叔父が持っていたサンスイのSP-3005(たぶん)でした。それを上回る(下回る?か)低音で、私は「すごいすごい」としか感想が言えませんでした。



BOSE 901

社会人になった頃は、いまはなきマツフジやエレクトロニクス寿屋といった電器量販店によく足を運びました。
そこで出会った不思議なスピーカー、BOSE。
901だったと思います。

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スピーカーユニットの口径が小さいこと、表より裏側にたくさんのスピーカーがついていること、専用のアンプがいることなどを店員さんが教えてくれました。
まさに不思議な音響空間がそこに出来上がっていました。
たしかに高い音から低い音まで、まんべんなく出ている。小口径のスピーカーとは思えないほど下もよく伸びてる。いや、待て。なんかおかしい。どこか変だ。
ブツブツつぶやきながら、立って腕組みをしたまま1時間近く聴いていました。
そして出した結論、「おれはだまされんぞー」。(^^;
聴いている間ずっと感じていた「妙な気分」が最後まで消えずに引っかかってしまいました。
それまで反射音(間接音)を出すスピーカーなんてなかったし、BOSE博士の罠にはまってたまるかと思ったのでした。

JBL 4311

微塵の疑いもなく気に入ったのがJBL4311でした。
これも量販店のコーナーで聴いたのですが、明るさ、張り出し、抜けのよさは国産とは別物でした。これで外国製スピーカーへの関心がグッと強まりました。

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4311のスピーカーユニットが上下逆だったら、きっと買っていたと思います。
これ、どう考えても上下が逆ですよね。口径の大きいスピーカーは下に配置するのが常道でしょう。アッテネーターのツマミはどう考えても上ですよ。
おそらく日本中のオーディオファンの9割はそっちを望んでいたと思います。
その証拠に4311の後継機である4312は、これをまるっきり上下反転させました。でももう遅かったのよね。私が買いたいと思ったときとモデルチェンジの時期がズレていました。
思うにこれは、スタジオモニターとしての使用を前提に考えられたからだと思います。
たぶんミキシングコンソールの上に置いたのでしょう。そうだとすればスコーカーやツイーターは耳の高さに合わせて下へ。アッテネーターのつまみも下にあったほうが操作しやすいですね。
なるほど、これで合点がいきました。さすがです、JBL。

ヤマハ NS-1000M

密閉型スピーカーでもすごいと思わせてくれたのがNS-1000Mです。
「センモニ」という愛称で親しまれ、ものすごく売れましたね。今でもオークションによく出るし、必ずといっていいほど入札者が多数現れます。人気いまだ衰えずといったところでしょうか。

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私はずっとバスレフの音が好きでした。ほかに密閉型やバックロードホーンを聴きましたが、低域の伸びと適度な締まりはバスレフでしか再生できないと信じていました。
しかしセンモニは別でした。
低域不足を補って余りある高解像力。クセのない中域。どこまでもクリアに伸びる高域。
これまでの国産スピーカーにはないハッキリした音調が魅力的でした。
黒いボディーにシルバーのレタリングは凄みがあったし、パンチングメタルのカバーから透けて見える虹色のユニットがまたカッコよかったですね。ほれました。
買わなかったけどね。

【追記】

アルテックA7

こいつはそれほど印象がよくなかったので、書こうか書くまいか悩んだんですが、よく聴いた(聴かされた)友人所有のスピーカーなので、敬意を表して記しておきます。
大学の後輩Sくんは建具屋で、それまでのスピーカーはすべて自作でした。
私が4331を目標にしていた頃、Sくんは4343をモデルにして改良を加え、理想の音作りを目指していました。
ある日いつものようにSくんの家へ遊びに行くと、4343自作箱のところにはアルテックA7が座っていました。
きれいでしたね。とくに傷はなく、アルテックグレーの箱の横には「The Voice of Theater」のステッカーが(紙だったかも)誇らしげでした。

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さっそく聴かせてもらいましたが、なんじゃいこりゃー!の松田優作的オドロキな音でした。
こんだけデカいのに、低音がちーっとも出らんかっとってんチントンシャン。\(=。。=)
あの腹をえぐるような4343モドキを作っていたSがなぜ?

その当時の真意はいまも聞いていないので、Sくんの心境にどんな変化があったのか分かりませんが、ただただびっくりしたのであります。
お互い独身だったこともあってしょっちゅう、週に1~2回は家を訪れていました。
そのたびにA7を聴かされますから私もだんだん慣れてきて、次第にこの軽い音もいいなと思うようになってきました。
A7はネットワークを使い800Hzでクロスさせてありました。プリはアキュフェーズのプッシュボタンがいっぱいついたC-240だったかと思います。パワーアンプは自作管球でした。
Sくんの部屋も私と同じく2階の和室でした。しかし広さが12畳もあって(私は8畳)、A7は鳴らしやすかったと思います。
しばらくしてエレクトロボイスのホーンツイーターがこれに加わりましたが、いじったのはそれくらいで、なんでもかんでも改造してしまうSくんにしては珍しいことが続いたのでした。
上の写真は改良された後期形のようです。SくんのA7はこのタイプでした。

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私がバスレフからフロントロードホーンに移行したのは、ジャズ喫茶ソワレの音を再現したいという気持ちが一番でしたが、このA7の音に慣らされたのも多少影響があるかと思いますね。
結局、A7はまた突如としてSくんの家から消えてしまうのでありますが・・・。
Commented by salgadou at 2016-06-18 18:14
おっ 懐かしいスピーカーがぞろぞろ。4311は「スタジオモニター」だから コンソールボックスの上に置いたり 天井から斜めに吊るしたり...その状態でアッテネーターを操作しやすいプロ仕様だったと思うのね。
SB-7000は「位相」をうたい文句にした最初の国産スピーカーね。でも低温の締まりは4311のほうが。。。クラシックにはSB-7000でもよかった鴨長明。
NS-1000Mは大人気で自分も買おうかと迷ったけど 結局JBLの魅力に負けました。
ところでギャザードエッジの 日立・HS-500やパイオニアのベリリウムスコーカー搭載スピーカー S955は次回登場するのかな? (^^)

70年代の国産スピーカーのアプローチは「新機軸」や「新機材」で勝負、4WSなどを搭載した80年代の国産車と似てますねぇ。
Commented by tama_photo at 2016-06-18 21:31
いいえ、教授。
これが最初で最後の記事です。田舎ですから、量販店も2つしかなかったし、品揃えも少なかったのですよ。日立、パイオニアのスピーカーは、その存在すら記憶にありません。
このような日本が元気いっぱいの時代のコンポーネントは、外国での評判はどうだったんでしょうか。気になるところです。
http://audio-heritage.jp/
Commented by salgadou at 2016-06-19 09:12
あっと間違い。「低温」じゃなくて「低音」ね。
日立のHS-500は大学時代友人の実家に招かれてそこで聞きました。 たった20cmのウーファーなのに低音が良く伸び
当時自分が使っていたコーラルのコアキシャル20cmとは全く違っていたので 腰を抜かしそうに...(→大げさ)
どちらかと言えばクラシック向きの音かと。
パイオニアのスピーカーは当時としては非常に高価で 秋葉原のオーディオ店の視聴室でしか聞いたことがなく
あんまり印象が残ってないなぁ。
大学時代はジャズ喫茶に入り浸ってたばってん スピーカーはどこもJBLかアルテックで 国産のスピーカーおいてある店はなかったばい。
Commented by tama_photo at 2016-06-19 09:36
教授
そういえば私が昔、行ったことのあるジャズ喫茶も全部JBLでした。国産はもちろんのこと、アルテック、タンノイさえゼロ。そんな社会環境?ですから、ジャズファンがJBLに傾倒してしまうのは仕方ないことですね。
でもそんなに話題になったスピーカーなら、それを導入した勇気あるジャズ喫茶が何軒かあったかもしれませんよ。一度聴いてみたいものです。
Commented by テンジン at 2016-06-19 22:26 x
パナソニックは私のドガを弄ってくれていた大橋くんのお店(Moto-eln)にいまでも置いてあり鳴らしていますよ
JBL民生用はスタジオモニターと違い上下逆じゃないですね
20歳までは秋葉原から25分のところに住んでいて中学生の頃から庭みたいな感じでしたからジャズ喫茶じゃなくて十字屋、ダイナミックオーディオ、木村無線、広瀬無線などの視聴室に通っていたんですよ
ヴァイタボックス、アルティックなどの大型に混じり山水LE8T、L100、AR-4xなどブックシェルフが多く置かれて、それらを長時間聴いていました
Commented by tama_photo at 2016-06-19 23:59
テンジンさん
テクニクスは名機のひとつだと思います。タンノイアーデンを持っている先輩がいますが、あの音と感じがよく似ています。でも中高域がおとなしいので、ジャズじゃなくてクラシック向きかな。
やはり低域はバスレフ方式で高域はホーン。これがジャズには一番かと。
Commented by テンジン at 2016-06-21 17:05 x
>低域はバスレフ方式で高域はホーン

半年くらい前にC36の話をしましたね
あの箱を使ってD131+075だと今のtamaさんに気に入ってもらえる音になるかな?
もう少しゆったりした低域出すならD123+175DLHかな
小さなバスレフ箱に入れてあるものを聴いてみたいです
Commented by tama_photo at 2016-06-21 20:14
テンジンさん
いま一番欲しいのがバイカウント(C36)なんです。ユニットはD130と075ね。
数か月前に程度のいいバイカウントが50諭吉台で1セット出ました。希望落札価格が決めてあったので、入札しようかどうか迷っているうちに終わってしまいました。欲しがってる人がたくさんいるんですね~。びっくりしました。
オリジナルの相場はかなり高いので、ユニットとネットワークだけJBLでそろえて、箱は国産でもいいような気がします。
075と比べると、175DLHはいくぶん柔らかい音がするようでござんす。
Commented by テンジン at 2016-06-21 21:29 x
D130に175DLHと075(実際は2402ですが)両方を繋げた私としてはD130+075は大音量にしないと満足できませんでした
2402は12dBで2400Hzクロスと6000Hzクロス、175DLHは同じ12dBで1200Hzを試して一番気に入ったのがD130+175DLHの組み合わせでした
D130をD131にすることで075を使ったとき音量を絞っても良い再生ができると想像しました
今の組み合わせは気に入っているのですが、小さな(60Lくらいの)バスレフ箱にD123を入れて175DLHを鳴らしたらもっとゆったりした低音を聴けるかなと思った次第
モノラルレコードにはこっちの方がいいかもよ
Commented by tama_photo at 2016-06-21 22:39
テンジンさん
いま「オーディオの足跡」でD131やD123を見て勉強してきました。知らなかったので・・・。(^^;
JBLといえば重厚長大のユニットがもてはやされていますが、こういうワンサイズ小さなユニットを選ぶのは渋いですね~。
バイカウントを見て思ったのは、どうみても箱が小さいということです。15インチが使える大きさじゃないですよね。あれはきっと家庭での使用を前提に、相当無理して設計したのだろうと思います。テンジンさんが言うように、あの大きさだったら30センチくらいが限界じゃないのかな。
C36の箱にD130だと下はきついし、075の上もきつい。あの荒くれ者の075を家庭で聴くのは厳しいでしょう。075はたぶん18KHzまで伸びていると思います。それよりも、D131にして下をほどほどで切り、上も175DLHで欲張らずに15KHzくらいにとどめておいたほうが、ナローレンジだけど全体としてバランスのいいスピーカーになるんでしょうね。
でもそれはD130と075を経験したテンジンさんだから言えるのであって、やっぱり私はD130と075の誘惑に負けそうだな。
それともモノラル(スピーカー1本)なら一足飛びにWEとか。!(^^)!
Commented by 西野和馬  at 2016-06-25 12:08 x
マツフジは僕もよくいきました。2階がオーディオで3階のアマチュア無線のエリアが大好きでした。E寿屋では、19歳の夏バイトしたお金でTEACのオープンリールデッキを買いました。それでエアチェックしました。なつかしいですね(笑)。デッキは今、千葉の嫁さんの実家になぜか置いてあります。

僕は、つい最近センモニ買いました。音はすごくよいです(笑)。
Commented by tama_photo at 2016-06-25 12:25
西野さん
マツフジいつも2階どまりで、3階は私にとって未踏の地です。アマチュア無線を始めたのは平成になってからで、JNコールでした。
携帯電話の普及とともにあっけなくやめてしまいましたが、HFの機械だけはまだ納屋にあります。
西野さん流FALの音づくりに期待しています。
by tama_photo | 2016-06-18 14:56 | Music & Audio | Comments(12)