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HMV102 修理

先日落札したHMV102、回すと異音がする。
レコードをかければその音にかき消されてしまうけど、無音状態では「カサカサ」「コトコト」とにぎやかだ。
静かさでいえば、日本ビクターのほうが上。世界の名機が日本製に負けてはいけないので、ちょっと見てみよう。

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音のひとつは原因が分かった。
プラッターの回転を止めるブレーキのフェルトがささくれ立って、それがプラッター内周に触っていた。
カッターナイフでささくれ部分を切って調整した。ついでにスプーンの格好をしたレバーの曲がりも修正。

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もうひとつの異音は内部のようだ。
ボード周囲のネジ7本と、トーンアームを置く収納フックのネジ2本を外すと、ボード全体がガバッと取れる。
これがトーンアームを収納するフック。2枚の鉄板で首を挟むようになっている。
形が優雅だし手が込んでるなぁ。ネジは全部マイナスだ。

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ボードの裏には中心にモーター(ゼンマイ式)があり、その周りを囲むようにホーンがある。
ホーンは鉄板をハンダづけして作ってあるようだ。

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ホーンは長いほど音が大きくなるし低音も出る。
これにブチルゴムでも貼ればデッドニングが効いて締まった音になるだろうが、そこまではやらない。オリジナルを大事にしよう。

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モーターは大きめのネジ4本で止めてあった(赤い矢印)。これを外したらドスンとモーターが落ちて、ちょっと驚いた。

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モーター単体でネジを巻き、異音の出どころを探る。すぐに分かった。
写真よりこっちのイラストが分かりやすい。蓄音機の内部に貼ってあったものだ。グリスアップポイントを示している。
赤い丸で囲んだ部分から音がする。
回転する真鍮の円盤にフェルトを押し当てて回転数を調整する構造。円盤に傷でもあるのだろうか。

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見たらフェルトが円盤の外周に当たっていて、フェルトの3分の1ほどは円盤からはみ出ていた。
ここは力技。ステーをプライヤーで曲げて、フェルトが正しい位置に来るようにした。
これが蓄音機の心臓部と言っていいだろう。球形のものはおもりで3個ある。これがけっこうな速度で回転する。
大きなマスを回すことで回転を平滑にしている。よく考えてあるなぁ。
回ると遠心力で板ばねが外へ広がり、結果として円盤を上に引き上げる。
円盤を押し下げると回転は遅くなる。上げると速くなる。(この写真では「上下」だが実際には水平移動)
演奏中は常に円盤とフェルトは擦れ合っているわけだが、本来ここはフェルトじゃなくて革だったんだろう。
あの紙に「FRICTION LEATHER」と書いてある。次に開けるときまで忘れていなかったら、ここに皮ひもを付けてみるかな。

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円盤をピカールで磨いたがカタカタという音が消えない。
次に綿棒に紙ヤスリを巻きつけて面研した。

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強く押し当てると回転が止まる。軽く押し当てれば回転は速いが、削るのに時間がかかる。
3回ほどネジを巻いて地道に円盤を削ったが、音は小さくなったものの完全には消えなかった。
でもだいぶきれいになったのが分かる。それらしい傷はないのだけれど・・・。

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古くなったグリスも交換したいところだが、今日のところは許してやろう。
というか、そこまでやる心構えができていなかった。
ウェットティッシュで油汚れだけは拭いた。

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間違えないよう順番に組み立てる。
この年になると直近の記憶はすぐ消えるから、くれぐれも用心しないとね。
ケースの底に見たことのない部品が4つ転がっていたのにはビックリした。

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たぶんモーターがドスンと落ちたときに外れたのだろう。
モーターとボードの間に挟むスペーサーと考えれば、数も4つでつじつまが合う。
果たして、そのとおりだった。
幸いネジが余ったりすることもなく、元どおりの姿になった。
異音も割に小さくなって、これなら気にならないかな。

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昼からバイクをいじることにした。

Commented by テンジン at 2017-06-19 12:03 x
お仕事でおもちゃ治しをするくらいだからこれは楽しく治していたんでしょうね
バイク弄りにも興味津々
こちらは土曜に倉庫から相方の分と2台を持ってきて再整備準備中
まだ倉庫に8台置くので一度引き出して30年たまった床のほこりを掃除しました
おかげで鼻の中は真っ黒けでした
Commented by tama_photo at 2017-06-20 04:07
> テンジンさん
おもちゃの修理は、直したら壊されるの繰り返しでした。まるで賽の河原。仕事のやりがいが見つけられなかったのはそういうところにあったのかもです。
私のバイクいじりは表面的な部分に限られます。ガレージでもあれば楽しいでしょう。昭和40年代の2ストロークバイクを自分の手でバラして復元してみたいなぁ。
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by tama_photo | 2017-06-19 01:47 | Music & Audio | Comments(2)

「浅く広く」をモットーに、熊のいない熊本から発信しています。


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