2020年 06月 17日
針ころがし M75B
真空管アンプの真空管をいろいろと取り替えて聴くことを「球ころがし」というそうです。
私は交換するような球は持ち合わせてないので、針(カートリッジ)をころがしてみました。
久々登場、シュアーM75B。
シュアーの中でも廉価版に属するカートリッジです。
M75にはED、G、Bの3タイプがあると思っていたら、MBというのもあったようです。
※M75MBはシュアーがヤマハにコンポーネント用として供給したもので、中身はM75Bと同じだったそうです。
MBはさて置き、EDとGは軽針圧で0.75gから1.5gまで、Bは1.5gから3gまでと、どちらも針圧の許容範囲が広いですね。
数年前にシュアーの純正針が安く(2,500円くらいで)手に入ったので、たまに使うようになりました。
ヘッドシェルもオルトフォンの安いアルミから、オヤイデの積層カーボンにグレードアップしています。
針圧はいつも規定値の中間値(2.2くらい)で使っていたので、今夜は思い切って上限の3gをかけてみました。
アームはFR54、タンテはSP-10IIです。
最初にカーティス・フラーのブルースエット。
腰の据わった図太い音が出てきました。
毎度のことながら「こんなによかったっけ?」という印象です。針圧を重くしたのが効いている気がします。
発売された1979年の定価が10,800円で、実際は1万円を切る価格だったと思います。
それを思うとCPはかなり高いですね。
アメリカ人が好みそうな、元気で張りがある音がします。
ここで悪いクセが出て、聴き比べをしてみました。
同じタンテについているDL-103Rです。アームはSME3009/S2で、ヘッドシェルがMitchakuZ。仮想のピュアストレートアーム仕様。アンダーハングに設定されています。
聴き始めてすぐは正直な話、違いがあまり分かりませんでした。
繰り返し聴き比べをしていると、不思議なことに耳も検聴モードに入るようです。
聴覚神経が研ぎ澄まされていくというのでしょうか、違いが掴めてきます。
レコードをボーカルにするとだんだんM75Bのアラが目立つようになってきました。
やっぱり解像度が違います。
前にも書いた「音と音の間から先が見える」ことが弱いのです。先が見えません。
音は太いけど、にじんでしまって音の見通しを妨げています。細かなディテールが伝わってきません。陰影が浅いというか、声や楽器の端々のエッジやうぶ毛が見えて(聞こえて)こないですね。
BGMで聴き流す分には問題ないと思います。
友人とコーヒーでも飲みながら世間話して、たまに流れる音楽に耳を傾ける程度のリスニングであれば、その役目は立派に果たすでしょう。
私もこのカートリッジでは、あまり耳をそばだてないようにします。
by tama_photo
| 2020-06-17 09:14
| Music & Audio
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